ひかりの森レター

「ひかりの森レター No.10」P1からP4です。

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視覚障がい者の総合支援施設をめざして
NPO法人 視障がい者支援協会・ひかりの森  理事長 松田 和子

 2022年は、昨年より更に厳しい年になりました。新型コロナウィルスは、変異を重ねながら感染力を強め、オミクロン株が猛威を振るっています。
ロシアのウクライナ侵攻、地球温暖化等々、終息の見えない問題に責められています。平和の構築は、緻密な連携と言われていますが、日常の中でも大切な心得と思われてなりません。
 ひかりの森は、NPO設立13年目を迎えることが出来ました。当初からご支援くださいました会員の皆様に心より感謝申し上げます。また、ロータリークラブや法人会、医療福祉、市民団体、さらにボランティアチーム等のご協力で、当協会の活動が円滑に進められましたことに、心より御礼を申し上げます。
 このような地域の応援に力づけられ、この4月「就労継続支援B型事業所 ひかりの森」を開設いたしました。視覚に障害がある人たちの仕事場です。見えない見えにくい当事者が、専門の指導員と共に点字名刺の制作や下請けの手作業に励んでいます。見えない人は仕事ができないという決めつけられたバリアを除く仕事、丁寧で心を込めた仕事ができる助け合いの場を心情とするひかりの森ならではのB型事業所を目指しています。しかし現在、仕事の受注が少なく厳しい状況です。当事者は訓練をしながら仕事を待っています。
 ひかりの森は、視覚障がい者を総合的に支援する施設のモデルケースとして様々な取り組みを進めてまいりました。働ける現場はもっとも重要な支援です。全国でも類のない視覚障がい者支援の施設として注目されています。
 街づくりや、地域福祉計画にも関わりながら地域に貢献してまいりました。今一度、ひかりの森がさらに前進できますよう努めて参りますので、皆様のご支援を心より願っております。HP、ツイッターも是非ご覧いただければ幸いです。
(第14回 通常総会 2022.6.11の写真掲載)

♪♪ パラレルナイン ♪♪

 「パラレルナイン」は、視覚障がい者とボランティアのバンドです。現在メンバーは6名。月2回 木曜日に中央市民会館 音楽室で練習を重ねています。演歌からポップスまで幅広いジャンルの曲を楽しみながら練習しています。
 社会貢献の一環として、越谷市のボランティアセンターに登録し、出張音楽演奏も行っています。社協を通じてご相談ください。仲間も募集しています‼
 (2022.7 音楽室で練習中のメンバーの写真掲載)
キーボード、オカリナ、ギター、打楽器、ウクレレ…様々な楽器を楽しんでいます

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令和3年度 活動報告・令和4年度 活動計画

【令和3年度】
2年度に引き続き新型コロナウイルス感染症によりNPO活動全体が影響を受けた。一日の活動参加平均は7.5人、電話支援3人と一日10.5人となった。利用者に対しては、ワクチン接種の情報提供や予約などの援助を行い、市当局や保健所に対し「ワクチン接種案内封筒用点字シール」納品など助言と支援を行った。
・デイケア事業では、英会話、川柳など新たな取り組みを始めた。
・相談支援事業所の契約者は135名(前年116名)で、計画作成122件、モニタリング442件である。
・授産事業の点字名刺作業者は9名で、受注401件(前年338件)であった。
・啓発活動として、「ひかりの森レター№9」の発行。複数マスコミの取材を受け、出前講座を行った。
NPO法人の正会員は28名、賛助会員は73名(法人会員は7)の実勢である。
新規事業所開設は、6月建設会社の入札コンペを行い千葉工務店と7月1日に請負契約を締結。8月21日に地鎮祭、11月4日に上棟した。令和4年3月10日「指定申請」を市当局に行い、4月1日付けをもって「就労継続支援B型事業所」が正式に承認された。

【令和4年度】
令和4年度は、「就労継続支援B型事業所 ひかりの森」が新たに始まることによりNPO活動が拡大する。既存事業との連携を行い全事業の運営の適正化に努める。また、各事業は独立採算制の向上を図る。
1.特定非営利活動に係る事業
①デイケア等地活事業/基礎的事業、機能強化事業については、従来通り行政との連携を取りながら適切な対応を行い、コロナ前の状況に戻す。
②相談支援事業所/職員の増員を機に相談体制を一層充実し、登録者、加算増につなげる。
③就労継続支援B型事業所/新就労継続支援を軌道に乗せるべく事業内容の充実化(仕事、利用登録者獲得)に取り組む。またスムースな運営体制を早期に構築していく。
2.その他の事業 
DVD「あるっく」 の広報活動を充実し新規顧客を開拓する。
3.NPOの運営関連
①事業拡大に伴い会計システムを始めNPO全体のシステムの適正化、効率化を積極化する。
②NPOの広報活動の一層の充実を計る。(HPのタイムリーな更新。ひかりの森レターの複数回発行検討など)
③新規事業として「同行援護事業所」の早期開始に向けた検討を行う。

賛助会員からのショートエール

■こしがや眼科クリニック 伊勢武比古
 クリニックでは、日常生活アドバイス等まで指導することが困難なため、視力に障害のある方がよりよい生活ができるよう、ひかりの森様でいろいろな活動をしていただき、大変感謝しております。
 今後も当クリニックでできることがあれば、サポートさせていただきたいと考えております。今後ともよろしくお願い致します。

■池中建設㈱ 中島美三郎
 ひかりの森の活動に意義を感じ、視覚障がい者の応援をして参りました。ささやかではありますが、法人会において、ひかりの森の「点字名刺」を紹介する機会を設けました。弊社においても「点字名刺」を注文し、活用させていただいております。
 今後も微力ではありますが、応援を続けて参りたいと思います。

賛助会員を募集中!! (年会費/1口2,000円~) 
「人のために、皆のために、社会のために」と思っている方。同じ思いを持った仲間を作りたい方。あなたの豊かな経験や貴重な体験をひかりの森で活かしましょう。
越谷の宝『ひかりの森』を応援しましょう!

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<新事業所建設の概要>

【令和2年度】
・令和2年11月7日臨時総会を開催し、新規事業について、自前物件の取得を決定し、土地購入及び建設に係る補正予算の決議を行いました。
・令和2年12月土地(53.33坪、越谷市赤山本町12-4)を取得しました。
・理事会の検討を経て、建物の設計依頼を㈲ケアリングデザイン一級建設事務所に決定し、新たにプロジェクトチームを発足し、基本設計の検討を行い成案しました。

【令和3年度】
・令和3年6月に建設会社の入札・コンペを開催しました。その結果、千葉工務店(越谷市)に決定し、7月1日に請負契約を締結しました。
・7月に地盤改良工事を行った上、8月21日に地鎮祭を行い、建設に着工し、11月4日に上棟しました。
・令和4年3月に建物が完成し、越谷市の各行政の検査を受けた後、3月24日引き渡しを受けました。
・令和4年4月1日付「就労継続支援B型事業所 ひかりの森」が正式に承認されました。
・令和4年4月9日 落成式を行いました。 以上です。
(落成式の写真掲載)

就労継続支援B型事業所
令和4年4月新規に開所しました。
視覚に障害のある利用者が、自立した日常生活及び社会生活を営むことが出来るよう、就労の機会を提供しています。
現在、仕事の依頼を受けております。
何か仕事がございましたら、ご連絡下さい。
(TEL.048-940-0114)
(新事業所建物の正面写真掲載)

■相談支援事業所 ひかりの森 相談支援専門員 中村伸一
平成28年に当事業所が運営開始されました。
多くの方より様々なご相談を受けさせていただき、多様な社会資源などを活用しながら、相談者の生活の安全と充実を目指し、気付くと6年が経過しています。相談者は約200名程(契約者約170名)に達しました。
視覚障がい者を主体にご相談をお受けしていましたが、最近は視覚障がい以外の特に精神障がいの方のご相談が多いです。これからも、「ヘルプマイノリティスピリット❕」で励みます。(越谷市赤山本町12-4 2F TEL.048-967-5050)
(相談事業所室内の写真掲載)

ユニバーサルな点字名刺はいかが?
就労継続支援B型事業所では、既成の名刺に点字をいれる仕事に取り組んでいます。
※全国の皆様からのご注文をお待ちしています。
※ホームページからも申し込みが出来ます。
ホームページ http://npo-hikarinomori.com/

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地域活動支援センターだより

今年度からNPO事業拡大のため、ベテランの女性職員が新事業所に異動し、新しい二人の職員がPCの指導や、就労支援に頑張っています。昨年度から始まった川柳や英会話教室は好評につき継続します。
新しい取り組みを紹介します。
感覚機能訓練
説明を聞きながら一枚の折り紙を折ったり開いたり、指先の感覚で折り進めます。
視覚障がい者の為の体操
転倒防止や怪我をしないようにストレッチやロコモ、有酸素運動等、椅子を使った運動です。
(感覚機能訓練で出来上がった折り紙です。完成した喜びもあり、皆さん楽しみながら取り組んでいらっしゃいます。写真掲載)

ひかりの森 利用者の声

「私のスタイル」  利用者 尾川一男さん
 72歳になります。年齢的には高齢者と呼ばれる立場ですネ。でも余生と思ったことはありません。それはやりたいことが沢山あるからです。
 趣味は一つより、同時平行していくつもやることをおすすめします。熱中するのもよいですが、できなくなったり飽きてしまうと無趣味になりますから。
 現在リードしているのはバンド活動です。パラレルナイン(※1頁に紹介記事)といって視覚障がい者のグループですが、個性が合わさっていい感じを出しています。だからといってそれにすべてをかけていないのが私のスタイルです。
 自宅で家庭菜園とパソコン、ピアノ、外ではバンド、オカリナ、そして点字学習者のためのアシストと楽しいことばかりです。

「私の居場所」  ペンネーム:闇王
 私の患っている目の病気は、糖尿病網膜症と緑内障です。18年前に診断され2年程前から緑内障が急速に悪化。著しい視力の低下により仕事が続けられなくなり、昨年春退職。仕事だけではなく、日常生活でも病は私からたくさんの物を奪っていきました。暗い闇を彷徨う中、出会ったのが”ひかりの森”でした。ここ”ひかりの森”では、様々な訓練が各々のレベルに合わせて行えます。私は、歩行訓練と音声パソコンを練習し始めました。奪われたものを取り戻す。闇の向こうに微かな明かりが見えてきました。頂上の景色を見る前に強引に下山させられた人生ですが、下りだして見える景色もあります。点字にもチャレンジしてみようと思います。人とは違った方法ですが同じように生きて行く。
 私にとってのそれが、この場所なのでしょう。私の居場所…”ひかりの森”

「アクティブだね」  利用者:西村香織さん
 ある日、娘が道でばったりお会いした内科のお医者様から「お母さんはこの頃ちっとも外に出ていないんじゃない?サポートしてくれる所があるはずよ」と言われました。その言葉がきっかけで、手帳交付後3年目でひかりの森と繋がれました。
 それまで私は視覚障害者に対するリハビリやケアを受けられる施設の存在を知りませんでした。見えなくなることで楽しみなどなくなるのだと思い込んでいました。適切な白杖を手に入れることができ、歩くためのすばらしい道具として技術指導いただいています。情報も得られるようになりました。今は音声パソコンを勉強したいと思っています。
 内科のお医者様に「アクティブだね」と言われるほど気持ちが前向きになっています。

4ページ おわり 以上です。

以下はPDFのデータです。